「自己肯定感」というワードを聞いたことがありませんか?
自己肯定感を高められると、何事にもチャレンジする心の土台ができると言われています。これは変化がめまぐるしい現代社会を生きる子供たちにとっても、重要なことと言えるでしょう。
そこで今回は、
「自己肯定感を高めるために必要なことって何?」
「自己肯定感は習い事でも高められるの?」
という点を解説していきたいと思います。
これからお子さんの習い事を選ぼうと考えている親御さんや、今の習い事を続けようか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
この記事はこんな人におすすめ
・子供を褒めるのが苦手
・子供の自信をつけられる習い事を選びたい
・子供の習い事のモチベーションが下がって悩んでいる
・子供の自己肯定感の高め方を知りたい
そもそも自己肯定感とは?
そもそも自己肯定感とはどのようなものなのでしょうか。
日本セルフエスティーム普及協会によると、以下のように解説されています。
自己肯定感とは自己価値に関する感覚であり、自分が自分についてどう考え、どう感じているかによって決まる感覚です。
そのままの自分を認め受け入れ、自分を尊重し、自己価値を感じて自らの全存在を肯定する「自己肯定感」の感覚は、何ができるか、何を持っているか、人と比べて優れているかどうかで自分を評価するのではなく、そのままの自分を認める感覚であり、「自分は大切な存在だ」「自分はかけがえのない存在」だと思える心の状態が土台となります。
この感覚を持てると、自分を尊重するように、他者や周りも尊重できます。すると他者からも尊重され、お互いに尊重し合える関係が作れます。
つまり子供の自己肯定感を高めるためには、子供を誰かと比べたり、何かをできることを褒めたりするのではなく、
「あなたはあなたのままでいいんだよ」
と伝えることが大切と言えます。
自己肯定感を高めることで得られるメリット
自己肯定感が高められると、以下のようなメリットがあります。
自己肯定感を高めるメリット
・自分で自分を認められるようになる
・失敗を恐れない心ができる
・新たなことにチャレンジできる
・困難に立ち向かう勇気ができる
・人からの評価に左右されなくなる
・何事も肯定的に捉えられるようになる
このように、自己肯定感を高められると、“心の土台”のようなものができあがります。
自分で自分を認められるようになるため、失敗を恐れず、新たなことにもチャレンジしやすくなるのです。
また自分自身を認められるようになると、同様に他者も認められるようになります。
これは良好な人間関係を築くことにもつながるでしょう。
子供の自己肯定感を高める習い事の選び方
習い事を行うことも、子供の自己肯定感を高めることにつながります。しかし一歩間違えると、むしろ自己肯定感を下げてしまうツールにもなり得ます。
例えば自分と他者とを常に比較してしまうような習い事であれば、むしろ自信を失ってしまい、自己肯定感をなかなか高められないかもしれません。
次の項目で述べる3つのポイントを押さえて、上手に習い事を選ぶようにしましょう。
習い事で自己肯定感を高めるための3つのポイント
習い事で自己肯定感を高めるためには、以下の3つのポイントを押さえるようにしましょう。
子供が「やりたい」と思ったことを選ぶ
習い事を始めるきっかけは人それぞれ。
「最近成績が落ちてきたから」
「周りの子が英語をやっているからうちも」
こんなきっかけで習い事を始める家庭も多いでしょう。
しかし自己肯定感を高めるためには、子供が「やりたい」と思ったことを習い事に選ぶのがポイントです。
子供はいろんなことに日々刺激を受けているもの。
例えばテレビでお料理番組を見ていて「わたしもやってみたいな」と言い出したり、
周りの子がサッカーを始めて、「〇〇くんと一緒に僕もサッカーやりたい」と言い出すことも日常茶飯事でしょう。
そのようなときが、習い事を始める一つのタイミングです。
「やりたい」と言い出したことを習い事として始めると、子供は「親はわたし(ぼく)の希望を受け入れてくれる」と感じます。これは子供に安心感を与えるきっかけにもなります。
また自分のやりたいことを始めて実際にできるようになると、自信にもつながるでしょう。
子供の“憧れの存在”から習い事を選ぶ
あなたのお子さんには、憧れの人がいないでしょうか?
わたしの娘の場合、YouTuberが憧れの存在のようです。
毎日のようにYouTubeを見ていて、YouTuberを真似て実況しながらゲームをしたり、実際にアイパッドでムービーをとって自分で見返してみたりしています。
あなたのお子さんにもそのような“憧れの存在”がいるのであれば、「〇〇みたいにあなたもやってみる?」と声をかけてみてはいかがでしょうか。
例えば我が家の場合、実際に動画を撮影して動画編集にチャレンジしています。
実際にやってみるとわかるのですが、
「ここは早送りにしよう」
「ここにはテロップを入れたほうがいい」
「ここはカットしよう」
など、アイディアがどんどん出てくるのです。子供の洞察力には驚かされます。
まだ習い事としては始めていませんが、近年はYouTubeにアップする動画制作方法を学べる習い事もあります。
憧れの存在を目指して習い事を始めると、その姿に近づくたびに、自信をつけられます。
「頑張ればぼく・わたしも〇〇のようになれるんだ」と自分を認めたり、自信を持つきっかけになるでしょう。
結果だけでなく過程を褒められるものを選ぶ
習い事と聞くと、塾で勉強するイメージを強く持つ人も多いでしょう。
塾ですと、テストなどの点数で結果が出るため、どうしてもその結果を元に褒めたりすることが多いです。
しかし自己肯定感を高めるためには、頑張った経過を見て褒めてあげることも大切。
例えば我が家の場合はスイミングに通っています。娘はバスでスイミングに通っているため、私が娘のスイミングをみるのはテストの時のみでした。
しかしある時から、普段の練習も時間を作って見に行くようにしました。
するとコーチから指導を受けた後に腕を大きく回すようにしたり、体がブレないように工夫する姿を見ることができました。
そして娘に、
「今日頑張ってたね」
「先生に言われたところ、自分で工夫してできるようになったんだね」
と声をかけるようになりました。
実はこの頃、娘はスイミングに対してモチベーションが下がりがちだったのですが、
このように私が練習を見て、「頑張っているね」と娘に声をかけるようになったら、
「また頑張ってみようと思う」と言うようになりました。
これは「頑張っている過程を見てもらえる」「見守られている」と言う安心感から、自己肯定感を高められたおかげかもしれません。
習い事で伸び悩んだときの対処法
習い事を始めると、どうしてもスランプのような時期が訪れるものです。
時には「もうやめたい」と言うこともあるでしょう。
そのようなとき、継続させるかどうかを迷う親御さんも多いでしょう。
“3回ルール”を作る
我が家の場合、「やめたい」と3回言ったらやめさせることを本格的に検討するようにしています。
子供の気持ちは移ろいやすいものです。
習い事でお友達を喧嘩したり、先生に指導を受けたりすると、気持ちが沈んで「やめたい」と言い出すことも少なくないでしょう。
しかし「やめたい」が3回続くと、何か根本的な問題が潜んでいる可能性もあります。
「やめたい」の奥に潜む気持ちに寄り添って
特に小学生の場合、まだ言葉の表現を多く持ち合わせていません。
なので習い事をやめたいと言い出した時も、「やめたい」の言葉の奥に隠された気持ちに寄り添ってあげましょう。
例えば
「いつも頑張っているもんね」
「何かやめたくなるようなことがあったのかな?」
と聞いてみて、何か話し始めたら最後までその話を聞いてあげましょう。
その時に、お子さんの話を遮るのはよくありません。とにかく相槌を打ちながら、最後まで話を聞くのです。
そうしていくうちに、お子さんの気持ちがスッキリして、「またやってみようかな」と言い出すかもしれません。あるいは「やっぱりやめる」という結論になるかもしれませんね。
結果がどちらに傾くのかは問題ではないのです。
大切なのは、子供の気持ちに寄り添い、子供の決めたことを尊重すること。
親がじっくり話を聞いてあげて、子供が「自分の気持ちを理解してくれている」と実感できると、安心感が得られ、自己肯定感も高められるのです。
習い事の見学に行く
習い事のモチベーションが下がってきた場合、機会を作って見学に行くことをおすすめします。
前述したように、私の娘も一時期、スイミングを「もうやめたい」「疲れるからやだ」と言っていました。
その時にまず行なったことは、娘の話を聞くことでした。すると、「お母さんにスイミングをみにきてほしい」と言ってくれたのです。
そこで私はしばらくスイミングに通い、娘の様子を見ることにしました。またスイミングにおやつやお茶を持っていき、泳ぎ終わった後を「娘とのお茶の時間」にすることにしました。
そうしてしばらくすると、「やっぱりもう少し頑張ってみる」と娘から言ってくれるようになりました。
「頑張っているね」「見ているよ」のサインを送る
我が家のスイミングスクールのように、子供一人で通う習い事をしているのであれば、
時にはこのように親御さんが見学するような機会を持つことをおすすめします。
つまり「頑張っている姿を見る機会」を作ってあげるのです。
そうすると、子供は「ぼく・わたしは見守られている」と安心できます。
もし仕事などで、そのような時間を作ることが難しいのであれば、先生やコーチに話を聞く機会を設けるのもおすすめです。
どのような様子で習い事に取り組んでいるのか話を聞いて、「〇〇先生から△△が頑張っていること教えてもらったよ」と伝えるのもいいでしょう。
自尊心を傷つけるような言葉はNG
吟味した習い事を子供が突然やめたいと言い始めると、親としても戸惑うものです。
しかし子供が「やめたい」と言い出すのも勇気がいること。まずはその気持ちに寄り添うことが大切です。
一方で以下のような声がけは、あまりおすすめできません。
「この曲が弾けるようになるまでは絶対に続けなさい」
「大会がもうすぐなのに諦めるの?情けない」
「〇〇ちゃんはできるようになっているんだから、あなたもできるはずよ」
もしかすると今の習い事はあなたの子供には合わず、もっと楽しんで才能を開花させられる習い事があるのかもしれません。
そのような可能性を信じて、時には潔く習い事をやめることも必要でしょう。
自己肯定感は習い事をしなくても高められる
もちろん、習い事を始めなくても、普段の生活の中で子供の自己肯定感は高められます。
普段の生活で自己肯定感を高めるポイントは、「できるようになったこと」に注目すること。
親はいつも一緒に過ごしているからこそ、子供の「できないこと」が目につきがちです。
しかし子供は確実に成長しているもの。それを実感するためには、何か記録に残していくのもいい方法です。
普段の生活で子供の自己肯定感を高める方法
ここから我が家が実践していることを2つ紹介していきます。
いずれも自己肯定感を高める目的で始めたことではないのですが、
継続していくうちに、「これは子供の自信につながることだ」と感じるようになりました。
お子さんの自己肯定感を高めるツールとして、ぜひ参考にしてくださいね。
こども手帳をつける
こども手帳とは、その名の通り子供の手帳のこと。我が家はこの手帳を作るにあたり、以下の本を参考にしました。
子ども手帳の作り方は簡単ですが、いくつか押さえるべきポイントがあります。以下を参考にしてください。
・手帳は子供に選ばせる
・予定管理はなるべく子供自身で
・タスクが済んだら子供に線で消させる
・ポイント制度を導入する
・1週間ごとにポイントを集計する
・集まったポイントをどう使うかは家族で決める
子ども手帳では、子ども自身で手帳にタスクを記入し、そのタスクが済んだら線で消していきます。
タスクとは、例えば以下のようなものです。
・宿題をする(1pt)
・お手伝いをする(4pt)
・朝じぶんで起きる(21pt)
・宿題以外の勉強をする(6pt)
これらは実際に我が家が設定しているタスクの例です。カッコ内にあるのはポイントです。
実際に子ども手帳を導入してみると、娘は線で消す作業とポイントが貯まることを楽しんでいるようでした。
しかし途中でやはり飽きてきたので、以下のようなことに気を付けました。
・「今週はこんなにやることたくさん頑張ったんだね」と声をかける
・ポイント計算の時に「よくできました」のハンコを押す
・私と勉強の回数を競って、「勝った方が+○ポイント」という制度を追加
こども手帳を継続するには、結構根気が必要です。しかしこれが習慣になると、大人になってもきっと役立つと思います。
また予定を書いて振り返り、自分がやったことを確認すると
「今週は朝頑張って起きられたね」
「お手伝いたくさんしてくれてありがとう」
など、子供を褒めるポイントがたくさんあることに気がつきます。
このように親子でポジティブな会話ができるため、きっと自己肯定感向上にも役立つでしょう。
子供の自信を高めたい人は、ぜひこの「こども手帳」にチャレンジしてみてください。
親子で交換日記をつける
交換日記も自己肯定感を高めるのに役立ちます。
子供を褒めることが苦手な人も、手紙や文章にすると落ち着いて子供の行動を振り返り、褒めるポイントが見えてくることも多いのではないでしょうか。
文章で気持ちを伝えることは、物事を整理しながら客観的に捉えることにも役立ちます。
例えば私が
「今日は〇〇して楽しかったね。また行きたいね。」
といった日記を書くと、娘はそれに答えるような文章を日記帳に書いてくれます。
その時に驚いたのが、娘がしっかり理由をつけて文章を書くこと。
これはあくまでも一例ですが、日記を始めたことで気づけた娘の成長です。
きっとあなたのお子さんにも、こうやって文章で記録していくことで、成長が実感できることがあるでしょう。
なので交換日記は、親も子も自己肯定感や自信を高めるツールになると、私は思います。
自己肯定感が高ければいいというものでもない
自己肯定感は、未知のことにチャレンジするときや、不安な気持ちがある中で自分を奮い立たせるときに役立ちます。
しかし自己肯定感が高すぎるのも考えもの。
たとえば誰かと何かを議論する時、
「自分は正しい」
「自分の意見は間違っていない」
という気持ちが強ければ強いほど、他者との対立を深めてしまいます。
間違ったことはきちんと指摘する
「自己肯定感高める=とにかく褒める」と思っていると、前述したような「自分が正しい」という想いが強すぎる子になりかねません。
そうではなく、間違っていることはちゃんと指摘してあげることが大切。
その時に押さえてほしいのが、きちんと理由を説明することです。
子供が納得いくまで、気持ちに寄り添ってあげることが大切でしょう。
他者の気持ちを考える機会を作る
お友達と口論になったり何かトラブルが起こった時は、相手の気持ちに立って考える癖もつけてあげましょう。
まずは子供の話を最後まで聞き、理解する。その上で、
「なんでそうなったのかな?」
「〇〇ちゃんはその時どんな気持ちだったんだろうね?」
と疑問を投げかけるといいでしょう。
答えが出なくてもいいのです。相手の気持ちを考える機会を与えることが大切。
こういうきっかけを与えると、以下のようなことに気づくことができます。
・自分の意見が通らないことがある
・相手の気持ちを推し量って行動することも大切
ただこの時も、親の意見を押し付けるのはやめておきましょう。
習い事をうまく活用して、子供の自信を伸ばしてあげよう!
自己肯定感を高めてあげると、何事にもチャレンジする気持ちを持てるようになります。
習い事で自己肯定感を高めるためには、結果ではなくその道のりをきちんと見てあげることが大切。
習い事のモチベーションが下がった時も、子供の気持ちに寄り添い、心の拠り所を作れるように対処しましょう。
・自己肯定感を高めるとチャレンジする勇気が持てる
・自己肯定感を上げるためには「あなたはあなたのままでいい」と伝える
・習い事で自己肯定感を上げるためには頑張る過程を見てあげる
・習い事のモチベーションが下がるときこそ自己肯定感を上げるチャンス
・自己肯定感は家庭でも高められる
・子供の「できること」を伸ばして自己肯定感を高めよう