全国各地で小学校の休校延長が続々と決まっていますね。
「正直ほっとした」
「でもこのまま休校が続いて本当に大丈夫なのだろうか?」
「いざ学校が再開となったときに、自分も子供も心や体が追いつかないかも」
など、多くの親御さんで安堵と不安の気持ちが交錯していることでしょう。
またこの期間、特にスポーツの習い事をしているお子さんにとっては
ストレスフルな毎日が続いているのではないでしょうか。
サッカー教室などは実施できない状況が続いているでしょうし、自宅でできるトレーニングにも限界があります。
そこでおすすめしたいのが、自宅でできるメンタルトレーニングです。
今回、ご縁をいただき、
東京2020オリンピック・パラリンピックを⽬指すアスリートのメンタルトレーニングに携わる
スポーツメンタルトレーニング指導士 筒井香さんより、
お家で、親⼦でできるメンタルトレーニング「こころの体操」をご紹介いただきました。
学校や習い事が再開したとき、お子さんの心がスムーズに順応できるよう、
ぜひ自宅で、親子で、メンタルトレーニングを実践してみてください!
(株)BorderLeSS 代表取締役兼CEO。2015 年スポーツ⼼理学研究で博⼠号取得。現在は、スポーツメンタルトレーニング指導⼠(スポーツ⼼理学会認定)として、またアスリートキャリアアドバイザー(平成27〜29 年度スポーツ庁委託事業「スポーツキャリアサポート推進戦略」アスリートキャリアアドバイザー育成研修プログラム修了)として、トップアスリートや未来のアスリートのパフォーマンス発揮とキャリア構築に携わっている。
筒井香さん取材記事
▶︎仕事と育児をつらくする「思い込み」の正体とは?|日経DUAL
▶︎「育児中だから無理」思い込みの理由は相手への無知|日経DUAL
スポーツメンタルトレーニング指導⼠ 筒井 香さんより読者さまへメッセージ
はじめに、今回筒井さんより「おやこでレッスン!」読者さまにいただいたメッセージを以下に掲載します。
おやこでレッスン! 読者様へ
新型コロナウイルス感染(COVID(コビット)-19)の感染拡⼤防⽌の影響で、3⽉から全国の学校が休校になり、新年度になりましたが、休校延⻑も発表されました。
また、スポーツ活動をはじめとした習い事も休⽌している状態が続いていることと思います。
「時間をどう使えば良いのか悩ましい」
「学校再開した時に普通の⽣活に戻れるのだろうか?」
というお声を親御様からいただきました。
そこで活動再開時に、元気に楽しく学校へ登校できるよう、その⽇がいつになるか不透明な⽇々ですが、だからこそいつ再開しても良いように、お家で、親⼦でできるメンタルトレーニング「こころの体操」をお伝えいたします。
今、私は2020 年東京オリンピック・パラリンピックを⽬指すアスリートに携わっております。
皆様もご存知の通り、オリンピック・パラリンピックも延期になりました。でも「必ず1年後に実施できるのか?」という不安もあります。また、それまでの練習再開や国際⼤会の開催⽬処は⽴っていません。
そんな時にアスリートができることは、
「いつ本番が来ても⾃分の⼒を出せるように⽇々を過ごすこと・その準備をし続けること」
です。
今回ご紹介する「こころの体操」は、こうしたアスリートも実践しています。
微⼒ですが、1⼈でも多くの⽅の⼀助になれたらと思って作成いたしました。この時期に限らず、今後の⽣活にもご活⽤いただけますと幸いです。
筒井 香
【自宅でできる!】子供のメンタルトレーニング
今回は筒井さんより、自宅で印刷して使えるメンタルトレーニングの資料をいただきたました。
以下よりダウンロードできますのでぜひご活用ください。
※こちらはご自宅でご活用ください
※印刷して配布する行為は禁止とさせていただきます
次の項からも、資料の内容ご覧いただけます。
お子さんお一人でも読めるような内容にしました。
ぜひ親子で話し合って、こころの体操を実践してみてくださいね。
メンタルトレーニングって何?
メンタルトレーニングとは、「こころの体操」です。
いま、学校はながいお休みになっていますね。
「毎日おうちにいるのは退屈」
「みんなと早く遊びたい」
そう思っている人も多いでしょう。
でも、あなたや、あなたの大切な家族を守るためには、いま、
おうちにいることがとても大切なのです。
また、必ず、学校に通える日や、
サッカーやピアノなどの習いごとができる日が、
きっと、やってきます。
今回は、そんな日がいつ来ても、
あなたのこころが「やるぞ!」の気持ちになれるような
おうちでできる「こころの体操」を紹介しますね。
この「こころの体操」は、
プロのスポーツ選手も、
大事な試合で練習の成果を充分に出すためにやっている方法です。
でも、そんなに難しくはありません。
お父さんやお母さん、家族のみんなでできる内容です。
ぜひ、周りのみんなと一緒にやってみてくださいね!
こころの体操1時間目:自分の気持ちに気づこう!
こころの体操1時間目は、
「自分の気持ちに気づいて、その気持ちにあうことをする習慣」
を身につけます。
・・・ちょっと難しいと思ったかな?
でも、やってみると意外と簡単です!
ここから、3つのステップでやってみましょう。
ステップ1:いま、どんな気持ち?
朝起きたら、顔を洗ったり、歯を磨いたりしますね。
そのような習慣に、「自分の気持ちを聞く時間」もプラスしましょう。
下のように、自分自身に質問してみてください。
「いまはどんな気持ち?」
どうですか?
どんな気持ちが出てきましたか?
- 「ワクワク」
- 「ドキドキ」
- 「ガッカリ」
こんないろんな気持ちがわきあがってくるかもしれません。
まずはそんな自分の素直な気持ちに気づいて、受け止めてあげましょう。
ステップ2:なぜそんな気持ちなの?
自分の気持ちに気づいたら、次の質問です。
「どうしてそんな気持ちになっているのかな?」
あなたのいまの気持ちの、「理由」を探してみましょう。
例えば、「ワクワク」なら・・・
「今日はお楽しみ会があるからワクワクする」
「ドキドキ」なら・・・
「サッカーの試合があって負けたくないからドキドキする」
「ガッカリ」なら・・・
「昨日のテストが悪かったからガッカリ」
などなど。
「なんとなくモヤモヤした気持ち」でも、こうやって理由がわかると、
次にどうすればいいのかも見えてきますよ。
ステップ2:今日1日を良い日にするには?
1日が始まったとき、きっとほとんどの人が、
「今日が良い日になればいいな」
と思うでしょう。
(「悪い日になれ!」と思う人はあまりいないですよね・・・)
では、さっきのステップで気づいた自分の
- 「ワクワク」
- 「ドキドキ」
- 「ガッカリ」
といった気持ちとなるべく寄り添って、
今日1日を良い日にするにはどうしたらいいでしょう?
自分の気持ちをうまくコントロールしよう!
例えば・・・
「今日はお楽しみ会があるからワクワクする」なら、
→お楽しみ会、ワクワクしすぎたらうっかり忘れ物をしちゃうかも? 持ち物チェックを忘れずに!
「試合があって負けたくないからドキドキする」なら、
→失敗したくないからこそ、失敗も成功も考えずに、これまで練習してきたことをしっかり思い出そう!
「昨日のテストが悪かったからガッカリ」なら、
→頑張ったからこそ落ち込むことができた。それはとても良いこと。その気持ちがある間に復習しよう!
どうですか?
- 「ワクワクな気持ち」は、ちょっと落ちつく方法が見つかりましたね
- 「ドキドキの気持ち」は、いままで頑張ってきたことを思い出せば、少し和らぎますね
- 「ガッカリの気持ち」を受け止めれば、良い方向につなげられますね
こうやって、いろんな気持ちと仲良くして、その気持ちと向き合う方法が見つかれば、
あなたの気持ちのエネルギーを、良い方向に使う習慣が身につきます。
学校がおやすみのいま、考えられることは?
ここまで例に出したこと(お楽しみ会・テスト・試合)は、
学校や習いごとがおやすみのいまは、
なかなか考えられないことかもしれません。
でも、例えば、
「小学校の授業ってどんなのなんだろう?」
「3年生になったら勉強の授業が増えるの、嫌だなあ」
「新しいクラスでうまくやっていけるかな?」
そんなことを考えて、
なんだか「ドキドキ」「モヤモヤ」してしまう日もあるかもしれませんね。
そんな気持ちに気づいて、
その気持ちと向き合って1日をどう過ごすのかを考える習慣が身につくと、
これから学校や習いごとがまたはじまったときも、
自分の気持ちとうまく向き合えるようになりますよ。
こころの体操2時間目:やる気を育てよう!
急に学校・塾・スポーツクラブなどが長いおやすみになり、
おやすみ中の分の宿題や課題がたくさん出された人もいるかもしれません。
でも、
「今日はなんだかやる気が出ないなあ」
「いつもはみんなと一緒にやっているけれど、自分一人だとつまらない」
こんな感じで、
なかなか宿題や課題を進められない人もいるのではないでしょうか?
そんな「やる気が出ないときにどうするのか?」を学ぶのが、
「こころの体操2時間目」です。
さっそくやってみましょう!
ステップ1:なぜこれをやらなきゃいけないのかな?
なぜその宿題・課題はやらなきゃいけないのでしょう?
やらなきゃいけないことがあって、でもやる気が出ないときは、
「やらなければならない理由」について考えると、
うまくいくことがあります。
例えば・・・
- 長いおやすみの間もこのトレーニングをやっておけば、やすみ明けの練習についていきやすい
- やすみ明けの練習で体がうまく動かず、辛くなるのを避けられる
- この宿題をやっておけば、3年生の授業にスムーズについていける
- 2年生の間にやったことを復習しておけば、3年生の新しい学習がわかりやすくなる
- 3年生は理科や社会の授業もはじまるから、2年生でわからなかったことをいまのうちにやっておいたほうがいい
などがありますね。
もしかすると普段から、
お父さんやお母さんにもこのようなことを言われているかもしれません。
このような「やらなければならない理由」を自分で考えられるようになると、
お父さんやお母さんに言われるより先に、自分で動けるようになりますよ。
「お父さんやお母さんに言われるより先にできる」って、ちょっと気持ちよくないですか?
「やる理由」がわかっていると、「やる気」は生まれる!
ここまで説明したことをまとめると、
「やる気がある状態」は、それを「やる理由がわかっている状態」
なのです!
でも
「そんなことわかってる」
「でもやる気が出ない・・・」
そんな日もありますよね。
このようなときは、次の「ステップ2」を見てみてくださいね。
ステップ2:自分が動き出せるスイッチを見つけよう!
「やる理由を考えても、なかなか動き出せない」
「やらなきゃいけないのはわかっているけれど、ついついダラダラ・・・」
こんなときは誰にでもあります。
(もちろん、お父さんやお母さんにもあるんですよ)
そのようなときは、
「自分が動き出せるスイッチ」を探してみましょう。
例えば、宿題を終わらせたあとのことを想像してみましょう。
「これが終わったら美味しいおやつが待っている」
「この宿題をまとめてやっておけば、来週発売のゲームがたっぷりできる」
「この課題が終わったらお昼ご飯!今日は僕が大好きなカレーだ」
など
宿題を終わらせた先にある楽しみなことを考えると、
「やってしまおう!」と思えませんか?
あるいは、「やる気が出る音楽」を聞くのもいいですね。
例えば・・・
- ゲームのバトルシーンで流れる音楽を聞いたり
- 外に出かけられない分、自然の音鳥の鳴き声や川が流れる音など)を聞いたり・・・
(YouTubeでそのような音が集められた動画があるので、お父さんやお母さんに聞いてみてくださいね)
試しにこのような音楽を聞いてみて宿題や課題がはかどったら、
それが「あなたのやる気を出すスイッチ」です!
こうやって、「はじめの一歩を踏み出すためのアイテム」をたくさん見つけておくと、
「やる気が出ないなあ」というときに、いろんなことを試せるようになります。
ぜひ今日から、あなたのやる気を出すアイテムを、
見つけてみてくださいね。
こころの体操3時間目:やるべきことに集中しよう!
ここまでで、
「さあやるぞ!」という気持ちの準備ができた人も多いのではないでしょうか?
でも、
「どうせやるなら失敗したくない」
「いざやろうと思ってはじめても集中できない」
という人もいるでしょうね。
そんなときのために、ここからは
「やるべきことに集中するトレーニング」をしましょう!
ステップ1:うまくいかないときはなにに集中しちゃってる?
「サッカーの試合でなかなかいいプレーができない」
「いざやろうと思って宿題をはじめても、なかなか進まない」
こんなとき、あなたはどんなことを考えてしまっているのでしょうか?
例えば・・・
- たくさんの人が応援に来ていて、みんなの目が気になる
- いまのプレー失敗しちゃった。コーチにどう思われているのだろう
- このあとなにして遊ぼうかな。あのゲームの続きをやろうかな
など、
いまや自分のことよりも、後先のことや周りのことばかりに集中してしまっていませんか?
ステップ2:うまくいくためにはなにに集中したらいい?
では、うまくいくためにはなにに集中したらいいのでしょうか?
例えば・・・
- いままで練習を頑張ってきた自分を信じよう
- 失敗してしまったのは仕方ない。次のプレーに集中!
- 仲間と声をかけ合って、いまやるべきことを確認しよう
- ○時からゲームがしたいから、それまでに宿題のここまでを終わらせよう
など、
いままでやってきたことを信じたり、
いまやるべきことをはっきりさせたりすれば、
余計なことを考えることがなくなり、
自然とこころを集中モードにできます!
紙に書き出してみよう!
いままでうまく集中できなかったときに考えてしまっていたことや、
逆にうまく集中できたときに考えていたことを紙に書き出してみると、
自分の気持ちを整理しやすくなりますよ。
紙とペンを出して、さっそくやってみましょう!
長いおやすみに不安になっているあなたへ
急に学校や習いごとが長いおやすみに入り、
ちょっと不安な気持ちになっている人もいるかもしれません。
テレビから流れるニュースの内容に、
なんだかドキッしてしまう人もいるでしょうね。
でも、いま、私たちにできることは、
あなたや、あなたの大切な家族や仲間を守るため、
「おうちにいること」です。
- 退屈な気持ち
- 不安な気持ち
- なんだかドキドキする気持ち
- このままでいいのかな?という気持ち
おうちにいる時間が長いいまこそ、
そんな自分自身の気持ちと向き合ってみましょう。
「なぜこんな気持ちになるのだろう?」
「この気持ちとうまく向き合うためにはどうしたらいいのだろう?」
このようなことがわかれば、
もっと自分の気持ちに寄り添えるようになり、
もっと自分のことが好きになれるはずです。
いつかきっと、学校や習いごとの仲間たちと、
一緒に楽しく過ごせるときがやってきます。
そんなときに、気持ちの良いスタートが切れるよう、
いまから「こころの体操」をしてみましょうね。
最後まで読んでくれて、ありがとうございました。
いつか来る日のために、こころの体操を
いまは自宅で過ごすことが多く、お子さんが「自分の心」にじっくり向き合える良い機会です。
今回筒井さんからご紹介いただいたメンタルトレーニングで、
いつか来る「学校や習い事再開の日」に向けて、「こころの体操」をしてみましょう。
この「こころの体操」が習慣化できれば、きっと新生活をスムーズに進められます。
前述したとおり、今回ご紹介した「こころの体操」の内容は、
以下のボタンよりダウンロード・印刷して活用できます。
最後には筒井さんからの「言葉のプレゼント」もありますので、ぜひご覧くださいね!